武富士の責任を追及する全国会議

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武富士役員責任追及多摩弁護団 意見要旨

武富士役員責任追及多摩弁護団 意見要旨

平成23年12月7日13:30より、東京地裁立川支部404号法廷にて、武富士役員責任追及多摩弁護団による責任追及訴訟の第1回口頭弁論が開かれました。

弁護団長による意見表明は、次の通りです。


平成23年(ワ)第0000号 損害賠償請求事件
被告 武井博子 外2名

平成23年12月7日

東京地方裁判所立川支部 民事第1部 御中

原告ら訴訟代理人
(武富士役員責任追及多摩弁護団団長)弁護士  笠井 收

意見要旨

本件第1回口頭弁論期日にあたり、原告ら代理人を代表して意見を陳述するが、その要旨は以下の通りである。

1 本件訴訟の原告らについて

本件訴訟の原告はいずれも、昨年、会社更生手続の申請がなされ倒産した株式会社武富士(以下「武富士」という。)に対する過払金債権者である。

原告らのほとんどの者は、5~6年以上もの間、武富士と取引し、真面目に高金利を支払い続けた。
でないと、利息制限法を超過する高金利でも過払いにはならないからである。

取引の間、多くの者は、それが利息制限法違反であると知らず、武富士が定める金利が有効なものであると信じ、支払を続けた。
武富士は一部上場の大企業であって、テレビなどでも多くの広告をしてきた。
そんな有名な大企業が法律違反の金利を定めているとは思わないのが、一般市民の感覚である。

多くの者は経済的に苦しく、様々な事情で借入をせざるを得なかった。
そして、一度借りてしまうと、金利の負担が苦しく、なかなか完済できない。
借入枠が空くと借りてしまう繰り返しになってしまう。
また、武富士の社員から「もっと借りてください」と迫られることも多い。

このようにして、「借りては返す」という悪循環になってしまう。
しかし、原告らはみな、高金利に苦しみながら「過払」になるまで必死で払い続けた。

事情を知らない者は、こうした過払債権者を「一部のだらしがない者」と片づけてしまう傾向があるが、実際にはそうではないことをご理解いただきたい。

武富士の会社更生手続において、過払金債権を届け出た者は90万人以上である。

90万人とは大変な人数である。
日本の人口は今年の国勢調査によれば1億2800万人余りとされているが、そうすると、日本人の150人に1人は武富士に対する過払債権者である。

これほど多くの者が武富士の高金利に苦しんだ結果、「過払い」になっている。
多数の者を苦しめた武富士と、その創業者の責任は極めて重いといわざるを得ない。

2 本件訴訟の被告らについて

他方、本件訴訟の被告らは、武富士を創業した者の一族である。

武富士は、平成18年に亡くなった亡武井保雄が創業したが、武井博子はその妻、武井俊樹はその長男、武井健晃(たけてる)はその二男である。

被告らは、武富士があげた多大な不当利得から、株式配当などによりを個人資産として形成してきた。

被告ら一族は長者番付の常連となり、杉並区にきわめて豪奢な邸宅があることは何度も報道されているが、その巨額の資産が社会的注目を浴びたのは、贈与税訴訟事件の最高裁判決をめぐってである。

すなわち、亡武井保雄は、長男の被告武井俊樹に対し、武富士の株を直接贈与すると課税されることから、オランダ法人を介し、周到にも武井俊樹を香港に住まわせて贈与税回避を図った(当時の税法では外国に居住する者の外国資産の贈与は課税対象から外されていたからである。)。

これが僭脱行為に該当するとして課税されたが、被告武井俊樹はその処分取消を求めて行政訴訟を提起した。

最高裁平成23年2月18日判決は、租税法定主義の建前から課税処分を取り消した。
要するに、この判決後、課税された巨額の贈与税は被告武井俊樹に還付されているはずである(その額は、利息込みで約2000億円と報道されている。)。

しかし、この判決において裁判長は、異例の補足意見を述べた。

すなわち、

「一般的な法形式で直截に本件会社株式を贈与すれば課税されるのに」

「暫定的に住所を香港に移しておくという人為的な組合せを実施すれば課税されないというのは」

「著しい不公平感を免れない。
国外に暫定的に滞在しただけといってよい日本国籍の上告人(武井俊樹)は,無償で1653億円もの莫大な経済的価値を親から承継し,しかもその経済的価値は実質的に本件会社の国内での無数の消費者を相手方とする金銭消費貸借契約上の利息収入によって稼得した巨額の富の化体したものともいえるから,適切な担税力が備わっているということもでき,我が国における富の再分配などの要請の観点からも,なおさらその感を深くする。
一般的な法感情の観点から結論だけをみる限りでは,違和感も生じないではない」。

というものである。

このように、被告ら一族は、利息制限法違反による不当な収益をあげた上に、さらに税法の抜け穴を潜り抜け、巨額の資産を保持している。
その問題点を最高裁裁判長裁判官も、はっきりと指摘しているのである。

3 武富士の会社更生について

武富士の会社更生計画案は本年10月31日に認可されたが、その第1回の弁済率はわずか3.3%とされている。

しかも、12月1日以降の報道によれば、スポンサーであるA&Pフィナンシャルの資金繰り等の問題により、弁済計画は大幅に遅れるとのことであり、過払金債権者はわずか3.3%の配当すら受領できるか微妙な情勢となっている。

その他、会社更生手続では会社更生申請代理人がそのまま管財人に就くなど、様々な問題点が指摘されている。

前記の通り、過払債権者は僅少額の配当すら受け取れるかどうかという情勢である一方で、被告ら一族が豪奢な資産を保持し、2000億円の還付金を受け取ったまま、何ら経営責任を果たそうとしないのは、裁判長補足意見の通り、「著しい不公平感」があるとしか言いようがない。

4 本件訴訟で問うこと

訴状の主張・立証事項に関わるのでここでは多くを触れないが、被告らが法的に許されないことの第1は、貸金業のプロである武富士、そしてその役員を務めた亡武井保雄を中心とする者らは、

「貸金業規制法の『みなし弁済』規定が適用されない結果、利息制限法が適用されれば、過払となる。」

という単純な図式を熟知していたということである。

平成8年から9年にかけて、武富士は貸金業規制法の「みなし弁済」規定の適用に挑み、いずれも高等裁判所で大敗を喫している。
まともな経営者であれば、ここで自社の取引の違法性を直視し、取引の形態を変え、過払が発生しないように努めるはずである。

ところが、武富士はこのような対応を一切していない。高金利による儲けに目がくらんだとしかいいようがない。

ここに、取締役としての重大な責任があると言える。

次に、亡武井保雄は盗聴事件という信じられない犯罪行為を犯し、さらに本件会社更生に至る経過には計画倒産の疑いがあるばかりか、その他訴状請求原因第4の4以下で述べる様々な問題がある。

5 回付上申について

ところで、被告らは本件訴訟を東京地方裁判所へ回付せよとの上申をしているが、全く不相当である。

本件訴訟は、貴庁貴支部に管轄がある。
武富士は、多摩地区に多数の支店・営業所、ATMコーナーなどを設置し、テレビCMはもとより、街頭ティッシュ配りなど数々の宣伝を行い、多摩地区の顧客をターゲットとして積極的にアクセスしてきたのである。

その結果として訴訟を起こされたのであるから、被告らは貴庁貴支部での応訴を受けて立つのが当然の筋合いである。

訴訟提起という不都合な事態になって、自らの利便を主張するのは、被告らの身勝手な態度を物語るものである。

6 おわりに

以上の通り、本件訴訟は金銭賠償の請求という形を採っているが、武富士の高金利に苦しんだ原告らの様々な思いが込められている。

どうか貴庁貴支部はこれら原告の思いを受け止めていただき、慎重かつ適正な審理とご判断をいただきたい。

以上

武富士役員責任追及多摩弁護団については、こちらをご覧下さい。

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