武富士の責任を追及する全国会議

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平成22年(ミ)第12号 会社更生事件 即時抗告申立書

平成22年(ミ)第12号 会社更生事件 即時抗告申立書

第2 投票方法の問題

1 199条2項4号違反

本件更生計画案の決議は、以下のとおり、「誠実かつ公正な方法でされた」とは認められないから、会社更生法199条2項4号の要件を充たさない。

2 不誠実かつ不公正な決議

(1)DIP型の問題点
本件会社更生事件では、株式会社武富士から会社更生の依頼を請けた弁護士(小畑英一弁護士)が更生事件の管財人に選任されている点において、手続の誠実性・公正性に根本的な疑問がある。
そして、本件会社更生事件は、約91万人と極めて多数の一般市民に対し過払金を生じさせ、これらの者が一般更生債権者になっていること、株式会社武富士は創業者が盗聴事件で刑事有罪判決を受け、貸金業法に基づく行政処分を受けていることなど遵法精神に問題のある会社であることなどの諸事情を勘案すれば、そもそもDIP型手続を適用してよい事案ではない。
本件会社更生事件とは別途、全国各地で2000人を超える過払い債権者(更生債権者)が、株式会社武富士の取締役に対する責任追及訴訟(損害賠償請求訴訟)を現に提起している事実は、本件がDIP型に不適格であることの証左でもある。
このように、本件ではDIP型手続が取られたこと自体で、会社更生事件の公正性に対する市民の信頼が大いに揺らいでいる。
このような事案においては、市民の信頼を取り戻すためにも、本件書面投票の誠実性・公正性を厳格に監視・監督する高度の必要性が認められる。

(2)コールセンターの問題点
本件書面投票の問い合わせ先は、更生会社株式会社武富士のコールセンター(電話番号0120-938-685)とされていた。
そのコールセンターの職員の多くは、株式会社武富士の元社員が務めているという。
正常な市民感覚からすると、このような大規模な書面投票の問い合わせ先であるコールセンターは、書面投票の結果に利害関係が無い第三者機関によって、公正中立に運営されていなければならない。
しかるに、本件では書面投票の可決に利害のある者らによって運営されているのである(例えば、更生計画案の可決により再雇用の期待を持つ元社員など)。
この点は、選挙に例えて、「一候補者の選挙事務所が選挙管理委員会を務めているかのようである」との厳しい批判を受けているところである。
本件書面投票では、こうしたそもそもの設定の誤りが、以下の様々な問題点、歪みを生み出している。

(3)本件書面投票における個別の問題点
実際、頭書事件に基づく被害者の救済に携わる各地の市民団体及び債権者ら代理人には、以下のような体験談が寄せられている(甲12ないし甲14)。

  ①書面投票のやり方が分からなかったので、裁判所作成文書に記載されていた問い合わせ先(更生会社株式会社武富士のコールセンター)に電話したら、同意票を投じるように説得された。

  ②裁判所作成文書に記載されていた問い合わせ先(更生会社株式会社武富士のコールセンター)に更生計画案の説明を求めて電話したら、同意票を投じるように説得され、答えを渋っていたところ、同意しないと弁済が遅くなると言われた。
(更生計画案で示されている弁済期限は計画案認可決定日から1年とされている。弁済が1年も先になってしまうというのは、事実上の強い強制力になる。)

  ③裁判所作成文書に記載されていた問い合わせ先(更生会社株式会社武富士のコールセンター)に更生計画案の説明を求めて電話したら、同意票を投じるように説得され、さらに、会社更生手続きならば第1回配当が3.3%になるが、破産になったら配当が0%になるなどと虚偽の説明を受けた。

(4)大口債権者の優先的取扱い
くわえて、更生会社株式会社武富士は、本年7月付け「アクションプログラム研修資料」なる内部文書を作成した上、その内容を上記コールセンターの担当者らに徹底して周知しているが、同資料のなかには債権額200万円以上の債権者を選別して優先的に扱い同意を求めるなど、投票の公正さを疑わせる記載がある(そもそも裁判所や調査委員が「アクションプログラム研修資料」なる内部文書の存在と内容を把握しているのかすら、明らかではない)。

(5)誘導・誤導を招く記載例
更生債権者らに郵送された資料の中には、書面投票の記載例があるが、これには「同意」の文言に〇が付されている。
一般市民は、これを見て「同意」文言に丸を付して返信すべき義務があるものと誤信することが多く、実際に、誤信して同意票を投じてから弁護士に相談する例も多くみられる(過払金債権者は、武富士の契約書等に記載された約定利息が法的に有効であると信じ、それに従って支払ってきた者である。
同様に、武富士が記載した例に従い行動することは容易に予想できる。
このような欺瞞的な記載例は厳しく非難されるべきであり、本来ならば、再度、同意に〇をつける義務はないことを周知徹底した上で、再投票の機会が与えられるべきである。)。

(6)同意を撤回した者の扱い
上記に関連して、ひとたび同意票を投じた者であっても、書面投票期限まではその撤回が許されるべきであるが、当会議関係者がコールセンター及び裁判所問い合わせたところ、同意の撤回は認めないとの扱いであった。
しかし、更生債権者の多数意思を決議に反映させる会社更生法の趣旨からは同意の撤回は無条件に認められるべきである。
したがって、電話、書面等何らかの方法で同意の撤回の意思を表示した者は同意票から外すべきであり、これらの者の厳密な集計がなされなければならない(甲14)。

(7)一般的な更生事件との違い
以上の批判に対しては、「一般的な会社更生、民事再生等の実務では、書面投票の集計業務につき、一定範囲で更生会社に委ねる場合もあり、そこまで厳密に行っていない」との反論も予想される。
しかし、本件会社更生手続では、このような反論は妥当しない。
本件では、90万人を超える過払債権者が更生債権者として届出ている。
日本の150人に1人を超える人数である。おそらく現行の会社更生法が施行されて以来、最も多くの債権者が関与する事件であり、しかも過払債権者のほとんどは一般市民である。
例えば金融機関や買掛先などは、最初に更生会社を審査したうえで取引を行っているのだから、更生債権者として相応の利害判断が可能である。
しかし、過払金債権者は、ただひたすらに株式会社武富士の約定利息を有効と信じて支払ってきただけの者であり、何の情報も持っていない、極めて弱い存在である。
こうした90万人を超える弱者が関与しているのが本件会社更生手続である。
一般市民の注目度は非常に高く、それ故に、複数の単位弁護士会が、異例の一般事件に対する言及をしているのである(現時点で判明しているだけでも、千葉県弁護士会、静岡県弁護士会、宮崎県弁護士会、岡山県弁護士会、群馬県弁護士会、佐賀県弁護士会が本件会社更生事件の問題点につき言及している。甲15)。

3 まとめ

以上、本件更生計画案の決議には199条2項4号違反が認められる。
なお、この点については、東京地方裁判所民事第8部に対し、一部更生債権者から、「本件会社更生手続では、管財人、コールセンター等による集計報告だけにより『可決』の認定をしてはならない。
徹底した再調査が実施されない限り、会社更生法199条2項4号による不認可事由が生じるというべきである」との申し入れがなされていたが、同裁判所において徹底した調査がなされたとはとうてい思われない。  

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