武富士の責任を追及する全国会議

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第1回口頭弁論・弁護団の意見表明

第1回口頭弁論・弁護団の意見表明

平成23年(ワ)第21758号 損害賠償請求事件

意見陳述要旨

2011(平成23)年9月15日



頭書事件の第1回口頭弁論期日にあたり、原告代理人弁護士を代表して、下記のとおり意見を述べる。

上記原告代理人弁護士  新里宏二

東京地方裁判所 民事第4部 御中

1 武富士倒産

消費者金融大手の武富士に対し、東京地方裁判所民事第8部(渡部勇次裁判長)は、2010年10月31日(日)午前10時、会社更生手続開始決定をした。

武富士は、わが国消費者金融の草分けであり、業界の盟主としてサラ金業界に君臨してきた。武富士の経営実態は、まさに「高金利」、「過剰融資」、「過酷な取立」という「サラ金三悪」を具現化したものであって、数々の社会問題を引き起こしつつ、多重債務被害を拡散させてきた。
また、武富士は、一部上場企業となるや、派手なコマーシャルでマスコミを牛耳り、他方、武富士に批判的な報道がなされるや、高額の名誉毀損訴訟を提起して、批判を封じ込めようとした。

多重債務問題の解決のため成立した改正貸金業法が完全施行されたその同じ年にサラ金の代名詞ともいえる武富士が倒産したことは、象徴的な出来事であった。

2 武井家の資産はどこから来たのか(過払金返還請求権の本質)

武富士創業者武井保雄氏(以下、「亡保雄氏」という。)は、武富士の従業員に過酷なノルマを課し、武富士の従業員は、貸付ノルマを達成するために過剰融資に走り、回収ノルマを達成するためには違法・不当な取立をせざるを得ないということが、常態化していた。
そのような業務実態は、亡保雄氏が死亡した後も、全く改まることはなかった。
武富士は、平成20年には、違法取立により業務改善命令を受けてもいる。

そうした違法な業務実態の中で、武富士の顧客らは、武富士から返済能力を超えるほどの過剰な貸付を受け、その貸付金に対応する高利の支払を余儀なくされ、違法・不当な取立を受けることを恐れて、利息制限法で計算上債務を完済した後も、義務なき支払を免れることができず、その結果、武富士には、莫大な不当利得(過払金)が蓄積する結果となった。

そして、亡保雄氏は日本有数の大資産家となり、利息制現法の上限を大幅に超える利息の収入によって獲得した巨額の富が、現在、亡保雄氏の相続人らに残されている。

借主が、食べるものも食べず、教育費も削り、税金も払えず、健康保険料も払えず、病院に行くのも我慢して病気になって、場合によっては自ら命を絶つというような悲劇が繰り返されてきた。
この結果、武富士の創業家・武井家に莫大な資産が蓄積されたということである。

こうした武富士の違法経営を陣頭指揮してきたのは、武富士の創業者でワンマン経営と言われた亡保雄氏であり、亡保雄氏の息子である、被告俊樹、被告健晃も経営に深く関与していた。
とすれば、被告らの法的責任が厳しく追及されなければならない。

3 一斉提訴の状況

本件訴訟は、武富士創業家に対して提起された、全国一斉の損害賠償請求訴訟のひとつである。

原告は過払金債権者(更生債権者)、被告は、武井家の、二男健晃、長男俊樹、妻博子。
損害額は、武富士の倒産により返還を受けられなくなった過払金相当額。
会社法429条に基づく取締役の第三者に対する損害賠償責任を追及するという訴訟である。

この一斉提訴の第一陣では、北海道、青森、山形、新潟、群馬、栃木、茨城、千葉、東京、神奈川、埼玉、静岡、長野、愛知、福井、大阪、和歌山、兵庫、広島、高知、熊本、大分、宮崎、沖縄の24都道府県から計849人の原告らが計19.4億円の損害賠償を請求している。
そして、その後の一斉提訴第二陣の追加により、本年9月1日までに総計31都道府県1455人が32.5億円の損害賠償を請求する訴訟規模に達している。

それだけ多数の過払債権者たちが、武富士の会社更生と武井家の資産温存に不条理を覚え、怒りとともに立ち上がっているということであり、その事実は極めて重い。

4 本訴訟の意義

ところで、武富士の会社更生手続では、武富士から会社更生申立を依頼された弁護士その人が更生管財人に選任されている。
これでは、武富士の意に反してまで管財人が公正さを追及できる道理がない。会社の売却の過程にも大きな疑義が出されている。

また、管財人は、本年7月15日に弁済率わずか3.3%の更生計画案を示し、武富士社員をつかって、「破産になった場合よりはマシ」だろうという脅しまがいの論法で電話を架けまくり、必死に同案への同意票を集めている。
もし投票期限の本年10月24日までに更生債権額の過半数の同意が得られなければ、更生計画が否決され、武富士は破産に至る公算が高いからである。

しかしながら、仮に武富士が更生を果たせば、同社の顧客名簿や取立システムなど有形無形の資産が再び活用されるようになり、過酷な貸金業が復活することになりかねない。
そして、「武富士」ブランドが生き残ることになれば、多くの元顧客は過去の辛い記憶を永続させられることになり、その精神的な苦痛をいつまでも消し去ることができないことになる。

こうした会社更生の経緯に怒りと失望を覚える過払債権者は数多い。
武富士の被害者は、武富士、そして被告ら武井家に対する公明正大な法律的決着を切望しているのである。

そうでなければ、全国の被害者は救われない。とくに人生の大切な時間や親族の命を奪われた被害者の方はなおさらである。
その意味で、本件訴訟は、被害者の方々の尊厳を取り戻す闘いでもある。

裁判所は、こうした厳然たる事実と被害者の事情をつぶさに体得し、市民社会が納得する、司法の正義をいまこそ示されたい。

以 上

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