武富士の責任を追及する全国会議

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千葉県弁護士会・更生管財人の解任等を求める意見書

千葉県弁護士会・更生管財人の解任等を求める意見書

意見書
(東京地方裁判所民事第8部における[DIP型」会社更生法事件の運用について)

平成23年6月21日

最高裁判所 御中
東京地方裁判所民事第8部 御中

千葉県弁護士会 会長 木 村 龍 次

意見の趣旨

1 東京地方裁判所民事第8部が会社更生事件において運用上採用している、いわゆる「DIP」型については、会社更生手続の適正を害するおそれがあるので、その運用は特に慎重にすべきである。

2 更生会社武富士の会社更生事件については、中立・公正の観点から、現在就任している管財人を、裁判所の職権により直ちに解任すべきである。

意見の理由

1 DIP型会社更生について

会社更生手続は、債権者の大部分の債権を失権させて会社の再建を図る手続きであるから、失権させられる債権者が納得できる公明正大な手続が不可欠である。
そのため、通常の会社更生手続においては、旧経営陣はすべて退任し、申立会社と関係を有しない管財人が会社財産の確保、旧経営陣に対する責任追及、更生計画案の作成といった一連の手続を進めることが原則である。

しかしながら、東京地方裁判所民事第8部は、近年、旧経営陣の一部を管財人として残し、その後の会社更生手続を進めさせるという、いわゆる「DIP型」の会社更生手続を運用により認めようになっている。
また、旧経営陣ではないが、旧経営陣から会社更生申立の依頼を受けた弁護士が管財人に横滑りするタイプの会社更生手続も広い意味ではDIP型に分類される。

確かに、DIP型の会社更生には、手続きを迅速・円滑に進めることができるというメリットを有する。
しかしながら、野放図にDIP型が採用されてよいはずはなく、そこにはおのずから限界がある。

2 DIP型の濫用

(1) ロプロケース

貸金業者において、最初にDIP型会社更生が採用されたのは、商工ローン「ロプロ」のケースであった。
同社は、悪質商工ローンとして社会的批判を受けていた会社である。
ロプロの会社更生事件では、取締役や創業家の責任追及は一切なされず、弁済率はわずか3%に止まった。

(2) 武富士ケース

次に貸金業者において、DIP型会社更生手続が採用されたのは、消費者金融の武富士のケースである。
武富士は、みなし弁済の成立しない貸付取引であるにも関わらず長年利息制限法超過利息を取り立て、過払金膨らませたうえ、昨年9月に会社更生を申し立て、同年10月にその開始決定を得た。
管財人には、同社から会社更生申立を受任していた弁護士が選任された。

武富士の会社更生においては、過払債権者が90万人を超え、過払債権額は約1兆5000億円にも達している。

一方で、武富士の会社更生手続は、以下のような点で不適切であり不公正の疑いがあると指摘されている。

ア 債権者等の関係者の協力と信頼が得られないこと
役員責任等査定決定を受けるおそれがあると認められる者は管財人に選任できない(会社更生法67条3項)。
本件においては、管財人に申立代理人であった弁護士が選任されており、確かに、形式的には同条項に抵触しない。
しかしながら、管財人が、債権者等の関係者の協力と信頼を得て更生手続を遂行する中心人物であることからすると、単に査定を受けるおそれがないということだけでは足りず、そのような協力と信頼を得て事業の再建を進めることができる人物であることが必要である(東京地裁会社更生実務研究会著「会社更生の実務」上巻305頁)。
ところが、本件の管財人には、武富士から申立報酬を受領した、武富士の申立代理人が選任されている。
確かに本件では、武富士の経営陣から事業家管財人は選任されなかった。
しかしながら、武富士と密接に関係し(少なくとも密接に関係していた)、武富士と利害関係を有する(少なくとも有していた)弁護士が、武富士からの影響力を完全に排除して公正に管財業務を遂行できるのか、おおいに疑問である。
片や武富士と委任関係にある(少なくともあった)弁護士が、片や管財人として公正な業務を遂行できるのか、利益相反の問題は生じないのか、このような疑義ある手続では、武富士の経営陣が裏から会社更生を主導しているのではないか、との疑いを払拭できない。

イ 管財業務遂行上の問題
管財人は、更生会社に存する一切の財産についてその価額を評定しなければならず(会社更生法83条)、一定の事項について裁判所に報告をしなければならない(会社更生法84条)。
法83条の財産評定及び法84条の定める調査報告は、管財人の調査すべき項目の中で最重要なものといえ、更生手続きへの影響も多大なものである。
そのため、管財人は、更生会社に対する調査権限を有し、調査の相手方を「更生会社の取締役、執行役、監査役、清算人及び使用人その他の従業員並びにこれらの者であった者」として、更生会社の経営に携わっていた者も含めすべてを調査の対象としている(会社更生法77条1項)。
そして、グループ企業間で不適切な経理処理が行われている事例やグループ企業を通じて資産隠しが行われていることも少なくないとの実情から、管財人の調査の対象を更生会社に限らず、調査権の対象を更生会社の子会社や連結子会社にまで拡大している(会社更生法77条2項)。
また、管財人は、更生会社財産のため詐害行為の否認(会社更生法86条1項)や偏頗行為となる特定の債権者に対する担保の供与等の否認(会社更生法86条の3)等の否認権行使の権限を有し、更生会社の取締役や監査役について違法性がある場合、その責任を追及するための役員責任等査定手続き(会社更生法100条等)や役員等の責任に基づく損害賠償請求権を保全するための当該役員等の財産に対する保全処分等の申立権限を有する(会社更生法第99条第1項)。
しかしながら、武富士の申立代理人である管財人は、前記のとおり更生会社との関係に大いに問題を有するから、上記のような管財人の職務を適正かつ徹底して行うことができるとは到底考えられない。

ウ 経営陣・創業家に対する責任追及上の問題
本件の特徴は、貸金業者の更生手続でありながら、金融機関の債権が相対的少額に止まり、更生債権の大多数を過払債権が占めることである。
更生申立の直前に偏頗弁済がなされた可能性すらなしとしない。
また、過払金は、多重債務者が苦心惨憺して支払ってきた末に発生したものであり、この貴重な過払金は、多重債務からの脱出や生活再建などの原資として有効に使われなければならないはずであるが、本件では、その貴重な過払債権を切り捨てる方向に向かっているとしか思われない。
このような会社更生は、不当な目的で申立がなされたと言わざるを得ず、さらに言えば申立が誠実にされたものとはいえないから、そもそも手続が開始されるべきではないとの指摘すらされていたほどである。
したがって、徹底的に武富士経営陣や創業家に対する損害賠償請求などの責任追及がなされなければ、管財人のみならず、裁判所が社会的非難に晒されること必定である。

3 結語

以上の理由から、今後、会社更生事件において運用上採用している、いわゆるDIP型については、会社更生手続の適正を害するおそれがあるので、その運用を特に慎重にされるよう強く要望するものである。
また、今回問題となっている更生会社武富士の会社更生事件では、以上述べたとおり、中立・公正の観点で問題のある管財人が、これ以上本件会社更生手続に関与することは極めて重大な問題があるから、直ちに現在の管財人を職権により解任されたい。

以上

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